Novel of Self-Satisfaction

そ の映像はひどく不鮮明だった。

画 面にはひっきりなしにキズやゴミらしきものが映り、明るさも不安定で明滅しているようにも見えた。

音 声がないのでよくわからないが、薄い青色をしているので、空か海が映っているようだった。

画 面中央のゴミのような黒いものが大きなっていき、昔の航空機らしいことがわかってきた。

結 構大型の航空機で、不鮮明ながらもひどく傷ついているように見えた。

もっ と近づくと、あちこちがボロボロに壊れており、火や煙も出ているので、墜落寸前の様子だった。

…. これは….映像を食い入るように見つめていた老婦人が、ポツリと呟いた。


上 木田家は、この地方では大きな旧家で、先代皇帝の改革で国家体制が変わるまでは、結構身分の高い一族だったらしい。

今 でも「かみきだ」さん、と呼ばれたりすると、祖母のアキは….ウチは「かみき「た」」です!その辺の庶民の皆さんと一緒にしないでください な!….と怒っているらしい。

当 主の忠太と妻の桂呼夫妻は、全然気にしていないが。

ア キはそのことも不満らしく、ブツブツ言っている姿を見かけることがある。

ア ツコとナツコは、19年前にこの夫婦の長女・次女として産まれた双子の姉妹である。

二 人は、誕生時から瓜二つで、行動もシンクロ装置があるのではないかというくらい同じだった。

二 人は、お揃いの服を着てお出かけしたり、手を繋いで学校に通ったり、いつも一緒だった。

顔 や容姿も同じなら、服装や髪型、身につけているものまで揃えていたので、両親や祖母でさえ二人を間違えることがあるくらいだった。

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